久しぶりにプロオケを聞きに行った感想
タイトル通りである。
念のため言っておくが、批判をしたいわけではない。 自分の受けた衝撃を飲み込むために文章を書いている。 自らの意思でチケットを買ってその対価として演奏を聴いたわけで、オケや指揮者に罪はない。
大阪のプロオケの定期公演を聞きに行った。 プログラムが良かったのと、気になっている指揮者が振るとのことで興味を持ったのでチケットを取った。当日、いつもより早く出勤し、何とか仕事をやっつけ、都市圏の勤務地とフレックス制を得ることができたという転職の喜びを感じつつ、ザ・シンフォニーホールに向かった。
何を感じたか
古びたホール
入ってすぐにかなり古いホールだと感じた。それもそのはずで、1982年に完成した*1とのことだ。客席に座ると少し窮屈だったが座り心地は問題ない。人の入りが少なく、隣席どころか1列誰もいないので、荷物を横に置く。隣に人がいるとちょっと窮屈だろう。観客の数は多く見積もってもホール定員の1/4程度だろうか。若い人はほとんどいない。オケの経営が気になるところである。自席でチラシに手を伸ばした瞬間、舞台裏での金管の音出しの音が聞こえた。しかもかなり強烈にだ。雰囲気ぶち壊しだなあと思うが、周りが全く動じていないところを見るといつものことらしい。古いので防音が甘いのだろう。 そして公演のパンフレットを見ると今日の公演内容とは違う曲目が目に入って、チケットを買い間違えたかと思い焦る。よくよく見ると2公演分のパンフレットを1冊に収めているらしい。世知辛い。
違和感
いざ、時間となり、諸注意の放送の後、ブザーが鳴る。ぱらぱらと申し訳なさそうにオケの団員が姿を現す。もうちょっと堂々と入ってこれはいいのに…。そういえば、拍手が起きない、なぜだ…? 公演後調べたところ、地元の札幌交響楽団では団員さんが入場するときも拍手するのが一般的だが、これは札響特有の文化らしい*2。 団員は仲良さげ。舞台上でおしゃべりしている人もいる。ここでちょっと怪しさを感じる。 コンマスが出てくる。ここでやっと拍手。チューニングを行い、そして指揮者が出てくる。盛大に拍手。 新型コロナの流行中なので、指揮者とコンマスがにこやかに腕を合わせる。
久しぶりのオケ
一曲目は変奏曲。弦は悪くない。木管もそこまで悪くないが、Flが怪しい。金管は全体的にアレ?って感じだった。終わってみればこの変奏曲が一番よかったように感じる。指揮はよく研究しているという印象を受け、飽きさせない見事な構成だった。まあ近くのおじいさんたちは寝ていたが。
二曲目、コンチェルト。ソリストの前に譜面台。まあ、外国人が来日できなくて、代理のソリストなので、仕方ないところではある。難易度が高い曲にも関わらず見事な演奏であった。ところどころ足でリズムをとっていて、その足音が響きわたっていたのが気になったが…。相変わらず特定の楽器がいまいち。チケットを買ったことを後悔し始めたが、あくまでもメインを聞くまで判定を下さないということを心に誓い、我慢。演奏が終わり拍手していると、舞台上で団員がおしゃべり。演奏以前の問題として舞台上でおしゃべりするのは…?と思っていると休憩に入る。
休憩時間~思い出
僕が札幌でオケのコンサートに行ってた時期と札響が経営危機を乗り越えて成長していた時期は重なると思う。ちょうど尾高さんが音楽監督、高関さんが正指揮者、そしてラドミル・エリシュカが客演で来ていた時期だ。Kitaraというホールにも恵まれた。*3演奏も安定していて、多少のミスはあれど、特定の楽器が気になることはなかった。基本安い席だったので、オケからは遠かったけれど、聞いていて楽しかった。そんなことを回想しつつ休憩時間を過ごしていると、舞台上で音出しや次の曲の練習をする管楽器がちらほら…。そのフレーズ、難しいのはわかるけど、休憩時間に舞台上で練習するのはどうなの…?
本日のメイン
やはりFlが怪しい。どう考えてもトップよりセカンドの方がいい音を出している。トップを入れ替えてほしい。Trpは相変わらず音質がうるさい。どっかの軍楽隊かなという感じである。Hrも音程が…。結構好きな曲なのに残念な音が同じ楽器から出続けて集中できない。この公演に来たことを後悔しないようにすることをあきらめた。集中しかけた瞬間にアレな音が聞こえてげんなりする。そして演奏会が終わる。日本人らしく拍手するが、心中は穏やかではない。正直、3楽章あたりで帰りたかった。
帰り道の思考
関西のオケのレベルが低いのか、たまたまアレな公演を引き当てたのか、それとも昔の記憶が美化されているだけなのか。やはりほかのオケも聞かなきゃならないと思いながら、ほかのオケの公演の情報を探し行きたいものをピックアップした。
橋本元市長の主張に大阪に4つもオケは必要ないというものがあったが、都市圏の人口規模*4からすれば4つぐらい*5は共存可能だと思っていた。しかし、この公演を聞いてそれは覆ることになる。正直なところをいうと日本のプロオケでこのレベルの演奏が存在するのかという衝撃を受けた。
また、舞台上の態度もプロとしていかがなものかというものが多かった。前述のように舞台上での会話が多い。1公演見るだけで人間関係が少しわかるが、そんなのは知りたくもない。仲がいいオケなんだろうなあとは思うが、別に観客にとってはそんなことはどうでもいいのである。アマチュアとは違う、上手なオケを聴きたいだけなのである。プロの雰囲気を大事にしてほしいと感じる。
冷静になって
とりあえず、ほかのオケを聞いてみようと思った。 ネット上の情報はあてにならない。自分の耳できっちり聴いてみようと思う。